ポツダム宣言の内容 日本国の義務 (連合国側の権利)
(1) 「日本国国民を欺瞞し誤導して世界征服の挙に出でしめたる者の権力及び勢力は永久に除去せられざるべからず」(第六項)・・・本項は各個人について具体的にいうものであること明らかであるから一般的、概括的に指定した追放処分の如きは本項の趣旨を逸脱した、権利の濫用ともいうべき不法な行為であったことはいうまでもない。
(2) 「連合国の追って指定すべき日本国領域内の諸地点は、吾等が茲に指示する根本的目的の達成を確保する為占領せらるべし」(第七項)・・・本項が諸地点と明記せるにかかわらず、連合軍は、日本の全領域を占領した。これは明らかに本条項の違反であった。
(3) 「カイロ宣言の条項は履行せらるべし」(第八項)
(4) 「日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国並びに吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」(第八項)・・・本項はカイロ宣言ならびにヤルタ協定の実施として日本より台湾、樺太、千島を剥奪したものであるが、日本が本来領有し、もしくは堂々たる講和条約によって取得しすでに数十年にわたり国際的に公認せられているこれらの島嶼を一方的宣言や秘密協定によって奪い去ることは明らかに国際法の蹂躙であり、かくの如く戦勝国が無制限に過去にさかのぼっていっさいの公認されている現実を否認するとすれば、いずれの時にか国際秩序の安定があり得るであろうか。またこれは1941年8月英米が宣言した、大西洋憲章第二項の「関係国民の自由に表明せる希望と一致せざる、領土的変更の行われることを欲せず」に違反するものである。
(5) 「日本軍隊は完全に武装を解除せらる」(第九項)
(6) 「吾等の俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳格なる裁判が行はるべし」(第十項)・・・本項に関しては東京裁判において二つの点で問題になった。一つはいわゆる「平和に対する犯罪」なるものはポ宣言発表当時国際法上、戦争犯罪の概念の中に入っていたかどうかということで、他はチャーターの内容その他東京裁判のやり方は「厳格なる裁判」であるかどうかということであった。
(7) 「日本国政府は日本国国民の間に於ける民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障礙を除去すべし」(第十項)
(8) 「日本国をして戦争の為め再軍備をなすことを可能ならしむる虞ある如き産業は許されず」(第十一項)
(9) 「日本国政府は直ちに全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し」(第十三項)・・・無条件降伏はカイロ宣言には日本国とあったが、本項によって日本国軍隊に変更されたことはまことに明瞭である。
(10) 「右の行動に於ける同政府の誠意に付適当且つ充分なる保証を提供せんことを同政府に対し要求す」(第十一項)
日本国の権利 (連合国の義務) 
(1) 「カイロ宣言の条項が履行せらるる」・・・第八項の結果、同宣言中の「右連合国は自分のために、なんらの利得をも欲求するものに非ず。また領土拡張のなんらの念をも有するものに非ず」の箇所は日本の利益のために援用し得るものである。ゆえにベルサイユ条約により第一次世界戦争以後日本が取得したる島嶼や、台湾、澎湖等は盗取したのでなく、正当なる日清講和条約により取得したものなることが判明したならば、この後段の剥奪処置が適当であるかどうかの再検討や現状回復措置も後日に残ることになる。いわんやヤルタ秘密協定による千島、樺太の奪取の如きは明らかに本条項と抵触するもので当然無視さるべきものと信ずる。
(2) 日本国軍隊は完全に武装を解除せられたる後各自の家庭に復帰し平和的且つ生産的なる生活を営むの機会を得しめらるべし」(第九項)・・・ソ連領内に移送された日本軍人及び一般人の総数は五十七万五千人に及んでいる。かくのごときはたんにソ連一国の不信はいうまでもなく、連合国全体の本条約違反というべきである。
(3) 「吾等は日本人を民族として奴隷化せんとし、又は国民として滅亡せしめんとするの意図を有するものに非ず」(第十項)・・・占領統治の苛酷は本条項違反たるものが多かったが、占領憲法の強要の如きはその最なるものであった。当時わが政府も国会も一片の抗議さえ出し得ないほど奴隷化されていた。
(4) 「言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立せらるべし」(第十項)・・・各般の占領政策は完全に本項に違反したことは多言を要しない。
(5) 日本は其の経済を支え且つ公正なる実物賠償の取立てを可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし」(第十一項)
(6) 「右目的の為め原料の支配は之を許さざるも、その入手は許可せらるべし」(第十一項)
(7) 日本国は将来世界貿易関係への参加を許さるべし」(第十一項)
(8) 前記諸目的が達成せられ、且つ日本国国民の自由に表明せる意思に従い平和的傾向を有し、且つ責任ある政府が樹立せらるるときは、連合国の占領軍は直ちに日本国より撤収せらるべし」(第十二項)